hygge liv! 人生を楽しむ

北欧・ヨーロッパを中心に、海外を飛び回り感じたことや、経験したことを書き綴るライフスタイルブログです。

3/03/2011

クリスチャニアにて

ここは書こうかどうか非常に迷ったが、ライフスタイルブログとは良いことばかりを伝えれるものであってはならないと思うので、記事にする。


クリスチャニア(Christiania)。コペンハーゲンのクリスチャンハウンから歩いて数分のところにある、移民たちの自治区だ。元はデンマーク軍の基地だったようで、軍がいなくなると移民やヒッピーたちが住み着いて、自治区を形成した、という成り立ち。ここには自治体によって決められたいくつかのルールがあり、それを守っていれば特に危険なことはない。日本のさまざまなブログやメディアで「危険地区!」とか紹介されているが、まぁ確かに日本では見ないような光景が広がっているということでそのように感じる人もいるだろうが、実際ここのルールは下記である。

・銃の使用、暴力禁止
・撮影禁止
・ハーブ以外の薬物禁止
・犬を鎖で繋ぐのは禁止
・自動車の乗り入れ禁止

私はこのクリスチャニアの場所をよく知らずに、とりあえず近い駅だと言われるクリスチャンハウンに行った。行けばわかるという自信があった。駅に着くと案の定、何人かの若者が黙々と一方向に歩く。私も二人組の若者についていく。10分ぐらい歩いただろうか、公園のようなところに入り少し進むと、見えてきたのが写真のクリスチャニア門。

中に入ると確かにその光景は、確かにいろいろな意味で凄い。いかにもヒッピーハウスという感じの家が並ぶ中、両脇から煙モクモク状態の道で中犬が放し飼いにされている。イメージするデンマークの真逆と言っていい雰囲気だ。たくさんの若者たちがここにハーブを求めて来ており、そこら中でみな当たり前のように何本か買って帰る。そしてなぜか子供が多い。犬と子供が戯れていて、その一片だけ見るともの凄く幸せな景色だ。ただ、危険な匂いは全く感じない。私は無意識のうちに海外で危険区域に入ってしまったことが何度かあるが、そういう時独特の緊張感も薄い。そんな場所で危険を察知するのは、道行く人々の視線なのだが、明らかに見物に来ているだろう私に対して、ここの人々は特別に視線を強めるようなことは無く、逆に慣れている感じがした。自由奔放に暮らしているこの姿を、どうぞご覧あれといった雰囲気だろうか。

歩きつかれたので帰りにタクシーに乗った。中年の運転手にクリスチャニアに行ってきたと言うと、「海外からの旅行者はみんな行くね!ユニークな場所だろ?」みたいに軽く言われて納得。やはり日本での取り上げられ方が少しオーバーなんだろうなと感じた。確かにデンマークと言われイメージするのは、高福祉国家で治安もよく、お洒落な人々が多いというものがほとんどだろう。それも間違ってないとは思うが、もちろん全ての人々がそのように、またそれに満足して暮らしているわけではない。泥酔した人がうろうろしていたり、若者が意味不明に叫んでいたり、そんなのは日曜茶飯事である。そう書くと治安が悪いように思われるかもしれないが、いつも思うがそれは日本も同じ。海外のほうが概ね安全だと思う。まぁそれは置いておいて、大都会東京に慣れてしまっている私からすると、コペンハーゲンの夜はあまりにも早い。それが旅行で行くと確かに素晴らしいことのように思える。夜は早く店も閉まり、仕事も早く終え家に帰って家族でご飯を食べるのだろうとか想像すると、24時間動いている東京の暮らしが惨めに思えたりもする。ただ、どこの国に行っても考えなければならないのは、住むとなるとどうかということ。多感な若者たちにとって、この秩序のある暮らしが必ずしも良いものであるとは言い切れないだろう。ただでさえ北欧の夜は暗く長く、そして寒い。人口も少なく、首都圏で100万人強だ。東京首都圏の30分の1以下である。きっと東京に慣れてしまっている私のようなものがこの街に住むと、まずやり場のない寂しさが襲ってくるのは言うまでもない。もちろん、違法であるハーブを自由に売り買いできるこを肯定するわけではないが、そういう若者の様々な欲に対する気持ちのやり場として、クリスチャニアがあり、人々や国も寛容に受け入れているというなら考えうる。

帰国して考える。果たしてクリスチャニアで育つ子供たちは幸せになるのだろうか?無論、無法地帯で育つ子供と聞くと、幸せになるとは考えにくい。ただ、それは日本も同じである。息苦しい人口過密の東京で、学歴社会と戦い育つ子供と、のどかで広大な土地でヒッピー社会の中、動物と触れ合いながら自由に生きる子供。絶対に前者が安全で健全な子育ての環境かと問われると、自信を持ってYESとは言い切れない。それは私がクリスチャニアで犬と戯れる子供たちの楽しそうな姿を目の当たりにしてしまったからかもしれないが…皆さんはどうお考えだろうか?

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